
マイホームの契約をしたあとに、
「やっぱりキャンセルしたい…」
「もっと良い条件の物件が見つかってしまった…」
というケース、意外と少なくありません。
そんな時に知っておきたいのが、
👉 手付金を使った解除(手付金解除)
👉 契約違反による解除(違約金解除)
の2つの方法です。
この2つは似ているようで、仕組みも目的も負担金額も大きく違います。
本記事では、一般の方にもわかりやすく解説します。
手付金解除(手付金放棄による解除)とは?
まずは「手付金解除」から見てみましょう。
契約書には次のような条項が記載されていることがあります。
手付金解除条項(例)
売主、買主は、手付解除期日までであれば、相手の履行着手の有無に関わらず、書面で通知して契約を解除できます。
売主が解除する場合は、受け取った手付金と同額を上乗せして返金(倍返し)します。
買主が解除する場合は、支払った手付金を放棄します。
💡 わかりやすく言うと…
- 買主は「支払った手付金をあきらめる」ことで解除できる
- 売主は「手付金を倍返しする」ことで解除できる
- 理由は問わず、「手付解除期日まで」なら自由にキャンセル可能
つまり、「一定の期限までならお金を払って(または返して)やめられる」という制度です。
✅ メリット
- 自己都合でも解除できる
- 相手の同意が不要で、書面通知だけで完結できる
⚠️ 注意点
- 「手付解除期日」を過ぎると使えません
- 相手がすでに契約を実行し始めた(履行着手)場合も使えません
※履行着手とは:
売主が登記や引渡し準備を始めた、買主が代金を支払った等、契約を実際に動かし始めた状態のこと。
また、手付金の金額は通常、売買価格の5〜10%程度。
負担も大きいため、安易な解除は避けましょう。
🏦 住宅ローン特約の場合
ただし、住宅ローン特約が付いている契約では特別なルールがあります。
もし買主がローン審査に通らなかった場合など、住宅ローン特約により契約が解除されると、
👉 手付金は全額、買主に返還されます。
この特約があると、買主のリスクが大幅に軽減されます。
住宅購入時には、必ず契約書の「住宅ローン特約」の項目を確認しましょう。
「住宅ローン特約」について詳しくはこちら
📘 まとめると…
| 項目 | 買主 | 売主 |
|---|---|---|
| 解除方法 | 手付金を放棄する | 手付金を倍返しする |
| 期限 | 手付解除期日まで | 手付解除期日まで |
| 理由 | 自己都合でも可 | 自己都合でも可 |
| 例外 | ローン特約で審査落ちの場合は手付金返還して解除可能 | ― |
契約違反による解除(違約金解除)とは?
次に「契約違反による解除」を見てみましょう。
こちらは、相手が契約を守らなかった場合に適用される契約条項です。
契約違反による解除(例)
売主・買主は、相手が契約上の義務を果たさない場合、相当の期間を定めて履行を催告し、それでも履行がないときは契約を解除できる。
その際、違約金を請求できる。ただし、相手に責任がない場合は請求できない。
💡 つまりこういうこと
- 相手が約束を守らない(例:支払い遅延、引渡し遅れ)場合に解除できる
- ただし、いきなり解除はできず、「催告(さいこく)」が必要
- 「〇日以内に履行してください」と期限を設けて催促し、それでもダメなら解除可能
- このとき、契約時に定めた違約金を請求できます
🟢 具体的なケース
- 買主が決済日までに代金を支払わない
- 売主が引渡し日までに物件を明け渡さない
- 売主が契約不適合による修補を遅延した
⚠️ 注意点
- 天災地変による履行不能の場合や社会通念上致し方ない理由の場合は違約金は請求できません
- 契約書に記載された違約金の金額(例:売買代金の20%など)は、後から増減することができません。
実際の損害額がそれより多くても少なくても、契約書で定めた金額が原則です。 - 解除する際は「催告 → 履行なし → 解除通知」という手続きを正しく踏む必要があります
まとめ
不動産売買の契約解除には、
- 手付金放棄で解除する方法(手付解除)
- 契約違反によって解除する方法(違約解除)
の2種類があります。
手付解除は「まだ契約を実行していない段階で、自己都合でやめたい時」。
契約違反解除は「相手が契約を守らない時」に使うものです。
契約解除は冷静な判断が求められます。
「解除できるタイミング」「手付金や違約金の扱い」を理解せずに行動すると、思わぬ損失につながることも。
ウィズFPでは、不動産契約のリスク管理やローン特約のチェックなど、購入前のご相談を承っています。
安心してマイホームを手に入れるために、ぜひお気軽にご相談ください。
