
マイホーム探しをしていると、「借地権付き住宅」という言葉を見かけたことはありませんか?
「土地は借りて、建物だけ自分のもの」という少し特殊な形の住宅です。
価格が安い反面、契約内容によっては注意点も多くあります。
今回は、借地権の仕組みと旧法・新法の違い、購入時のチェックポイントを簡潔に解説します。
借地権とは?
他人の土地を借りて、自分の建物を建てて所有する権利のこと。
土地の所有者(地主)に地代を払いながら住むスタイルです。
特徴
- 土地:借りもの(地主の所有)
- 建物:自分の資産
- 地代を支払いながら利用
- 売却・建替えには地主の承諾が必要
同じエリアの所有権付き物件より2〜4割ほど安いケースもあります。
借地権の種類
借地権には大きく分けて2つあります。
| 種類 | 内容 | 更新の有無 |
|---|---|---|
| 普通借地権 | 期間満了後も更新できる | あり |
| 定期借地権 | 契約期間終了で更地にして土地を返す | なし |
旧借地法(旧法)と借地借家法(新法)の違い
借地権の契約は、契約した時期によって適用される法律が異なります。
| 比較項目 | 旧借地法(旧法) | 借地借家法(新法) |
|---|---|---|
| 契約時期 | 平成4年7月31日以前 | 平成4年8月1日以降 |
| 初回存続期間 | 建物構造により20年~30年 | 一律30年以上 |
| 更新後の存続期間 | 建物構造により20年~30年 | 1回目20年、2回目以降10年 |
借地権付き住宅のメリット
- 購入価格が安い
土地代が含まれない分、価格を大きく抑えられる。 - 固定資産税が安い
課税対象は建物部分のみ。 - 好立地の物件が多い
地主が多い都心部や駅近などに多く見られる。
デメリット・注意点
- 地代の支払いが続く
毎月または年払いで地代が必要。ローン返済と合わせると負担増に。 - 売却・建替えに制約
地主の承諾が必要。承諾料が発生することも。 - ローン審査が厳しくなる
土地を所有していないため担保評価が低く、融資が通りにくいケースも。 - 契約条件の変更リスク
更新時に地代・契約条件が見直される可能性あり。
購入前のチェックポイント
✅ 旧法 or 新法?
販売資料でどちらが適用されているか確認。
✅ 契約期間と残り年数
自分のライフプランニングと照らし合わせて、どのタイミングで借地契約が切れるか要確認。
✅ 地代・更新料・承諾料
支払額・改定時期・発生条件を明確にしておく。
✅ 地主の対応
将来の更新や建替えに柔軟に対応してもらえるかも重要。
✅ 定期借地ではないか確認
定期借地は更新ができず、契約終了時に更地にして土地を返す必要があります。
FPからのアドバイス
借地権付き住宅は、次のような方におすすめです。
- 同じエリアの同条件の賃貸よりもトータルコストが低く抑えられる
- 子どもに不動産を残す必要がない
- 長期よりも「20~30年ほどの居住」を想定している
一方で、相続や将来の売却を重視する方には不向きです。
契約内容や地代負担をしっかり確認し、ライフプラン全体の中で判断することが大切です。
まとめ
- 借地権は「土地を借りて建物を持つ」仕組み
- 契約時期により「旧法」と「新法」でルールが異なる
- 安く買えるが、更新・承諾・売却時に注意
- 契約書・残存期間・地代・地主の意向を必ず確認!
借地権付き住宅は、理解して選べばコストを抑えて好立地に住める賢い選択です。
ただし「安さ」だけで決めるのは危険。
契約内容・将来の資金計画を含め、FPと一緒に総合的に判断しましょう。
