
昨日の千葉県を中心とした激しい大雨、皆様の地域はご無事だったでしょうか。
道路が一瞬にして冠水し、車が立ち往生する光景をニュース等で目にして、強い危機感を覚えた方も多いはずです。
昨日の大雨であれほど被害が出るとは衝撃でした。
たかが雨だと侮ることなかれ。自動車が水没して動かなくなったら、自分だったらどうするか、ということを想定しておくのがいざという時に最も重要だと思いました。
河川の堤防が切れる「外水氾濫(がいすいはんらん)」だけでなく、都市部や平地でも突如発生する「内水氾濫(ないすいはんらん)」のリスクは、私たちの日常のすぐ隣に潜んでいます。
今回は、内水氾濫の仕組みや昨日の被害から学ぶ教訓、そして水防法に基づくハザードマップと自治体が独自に作成するマップの違いについて詳しく解説します。
1. 内水氾濫(ないすいはんらん)とは?河川の決壊がなくても起きる恐怖
水害と聞くと「大きな川の堤防が切れて水が押し寄せてくる現象」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
これを外水氾濫(がいすいはんらん)(洪水)といいます。
一方で、内水氾濫(ないすいはんらん)とは、集中豪雨などによって短時間に大量の雨が降った際、下水道や排水路の処理能力を超えてしまい、雨水を河川へ排出できなくなって街中に水があふれ出す現象のことです。
内水氾濫が発生する主な原因
- 排水能力の限界:下水道や都市河川の設計容量を超える大雨が降る。
- 河川の水位上昇:放流先の河川水位が高くなり、逆流を防ぐために水門を閉めることで、街側の水が逃げ場を失う。
- 地形的な影響:周囲より低い土地(低地やアンダーパスなど)に雨水が集まる。
大きな川から離れている場所や「近くに河川がないから安心」と思っているエリアであっても、内水氾濫は発生します。
特にアスファルトで覆われた都市部では雨水が地下に浸透しにくいため、短時間で一気に冠水する特徴があります。
2. 昨日の千葉県の大雨被害から学ぶ日常の危機
昨日の千葉県における大雨では、局地的な激しい雨により、各地で道路の冠水や住宅の浸水被害が相次ぎました。
特に目立ったのが、アンダーパスや低地での車両の立ち往生・水没被害です。
水深がわずか20〜30cm程度であっても、自動車のエンジンに水が入ると停止してしまう危険があります。
さらに水深が50cmを超えると、外からの水圧によってドアが開かなくなり、車内に閉じ込められる極めて危険な状態に陥ります。
「自分は大丈夫」「走り抜けられるだろう」という過信は禁物です。
大雨の兆候があるときはアンダーパスなどの低地を通るルートを避け、万が一の立ち往生に備えて脱出用ハンマーを車内に常備するなど、日頃からの具体的なシミュレーションが命を救います。
3. 「水防法に基づくハザードマップ」と「自治体作成ハザードマップ」の違い
防災対策や不動産取引の場面で目にする「ハザードマップ」ですが、実は「水防法(法律)に基づくもの」と「自治体が独自に作成しているもの」が存在します。
① 水防法に基づくハザードマップ
水防法では、国や都道府県が指定した「洪水予報河川」や「水位周知河川」について、想定最大規模の大雨が降った場合の浸水想定区域図を作成することが義務付けられています。
これをもとに市町村が作成するのが水防法に基づくハザードマップです。
- 特徴:法的根拠があり、不動産売買・賃貸契約時の「重要事項説明」において説明が義務化されている。
- 対象:主に指定された主要河川の決壊等による「洪水・外水氾濫」。
② 自治体作成のハザードマップ(内水ハザードマップなど)
水防法の指定対象となっていない中小河川や、下水道のあふれ(内水)を想定して自治体が独自に作成しているのが自治体作成のハザードマップ(内水ハザードマップ等)です。
- 特徴:地域の実情や過去の浸水実績、下水道網の排水能力を反映して作られている。
- 重要性:水防法の指定河川から離れていても、過去にどのような内水被害があったかを確認できる。
不動産契約時の義務化対象(水防法に基づくマップ)に掲載されていない場所でも、実際には「内水氾濫」によって浸水リスクが高いエリアが存在します。
住まいを選ぶ際や避難ルートを調べる際は、両方のマップを併せて確認することが不可欠です。
4. 必ずチェックしておきたい「他のハザードマップ」
水害対策のためには、内水や洪水だけでなく、複合的なリスクを把握しておく必要があります。
自治体やWebサイト(国土交通省の「重ねるハザードマップ」など)で確認できる主なハザードマップは以下の通りです。
| ハザードマップの種類 | 想定される災害と確認ポイント |
| 洪水ハザードマップ(外水) | 河川の氾濫による浸水深や浸水継続時間。立ち退き避難が必要かどうかの判断基準になる。 |
| 土砂災害ハザードマップ | 大雨によるがけ崩れ、土石流、地滑りの危険区域(土砂災害警戒区域・特別警戒区域)。 |
| 高潮・津波ハザードマップ | 台風や地震に伴う海水の上昇・押し波。沿岸部や河口付近での避難ルート確認に必須。 |
| 地震・液状化ハザードマップ | 揺れやすさ、建物の倒壊危険度、敷地周辺の液状化リスク。避難場所の安全性を確認。 |
災害の種類によって「避難すべき場所」や「適切な避難行動」は異なります。
例えば、内水氾濫で屋外への避難が危険な場合は、無理に外へ出ず建物の2階以上へ移動する「垂直避難」が有効なケースもあります。
まとめ:ハザードマップを「自分事」として活用しよう
昨日の千葉県での大雨被害は、決して他人事ではありません。
気候変動の影響により、これまでの経験則が通用しない局地的大雨が全国どこでも発生し得る時代となっています。
- 自宅や職場周辺の「内水ハザードマップ」を確認する
- 通勤・通学ルート上にある危険箇所(アンダーパスや低地)を把握する
- 車移動時の立ち往生や水没時の対処法をあらかじめイメージしておく
ハザードマップは「見るだけ」で終わらせず、「もし自分がこの状況に置かれたらどう動くか」をシミュレーションするためのツールです。
ぜひ今日、お住まいの自治体の内水ハザードマップを開き、大切なご家族やご自身の安全を守る一歩を踏み出してください。
