
政策金利0.75%に上昇で住宅購入者はどう考えるべきか
2025年12月19日、日本銀行(日銀)は金融政策決定会合において、政策金利を0.5%から0.75%へ引き上げることを決定しました。
この決定は、日本が長年続けてきた超低金利政策からの本格的な転換を、より鮮明にするものと言えます。
この利上げを受けて、金融市場では長期金利が上昇し、10年国債利回りは一時2%を超える水準まで上昇しました。
住宅ローンを検討している方にとって、「今後の金利はどうなるのか」「変動と固定、どちらを選ぶべきか」は極めて重要なテーマです。
本記事では、
- 政策金利と住宅ローン金利の関係
- 日銀・植田総裁の発言の意味
- 今後想定される金利上昇シナリオ
を整理し、これから住宅購入を検討する方が取るべき考え方を解説します。
政策金利と住宅ローン金利の関係
まず押さえておきたいのが、住宅ローン金利は一律ではなく、種類ごとに基準が異なるという点です。
変動金利は「政策金利」が基準
住宅ローンの変動金利は、短期金利をベースに決定されます。
その短期金利の中心にあるのが、日銀がコントロールする政策金利です。
今回のように政策金利が
- 0.5% → 0.75%
と引き上げられれば、時間差はあるものの、銀行の変動金利も上昇圧力を受けることになります。
固定金利は「10年国債利回り」が基準
一方、固定金利は、長期金利の10年国債利回りを基準として決まります。
今回、政策金利引き上げを受けて
- 10年国債利回りが2%超
となったことで、固定金利はすでに上昇局面に入っていると言える状況です。
植田総裁の発言が示す「利上げはまだ途中」
日銀の植田和男総裁は、今回の会合後の会見で次のような趣旨の発言をしています。
金利から物価上昇率を差し引いた「実質金利」は、依然として極めて低い水準にある
これは非常に重要なポイントです。
実質金利とは何か
実質金利とは、
名目金利 − 物価上昇率(インフレ率)
で計算される金利です。
仮に政策金利が0.75%であっても、
- 物価上昇率が2%前後
であれば、実質金利はマイナスとなります。
つまり、日銀の認識としては、
今の金利水準でも、まだ「金融引き締め」とは言えない
ということになります。
2026年以降も利上げ路線を維持
植田総裁は、2026年以降も段階的な利上げ路線を維持する考えを示唆しています。
これは市場に対して、「今回の0.75%がゴールではない」ことを明確に伝えるメッセージです。
政策金利はどこまで上がるのか?中立金利という考え方
では、政策金利は最終的にどこまで上昇する可能性があるのでしょうか。
この点を考えるうえで重要なのが、中立金利という概念です。
日銀が示した中立金利のレンジ
日銀は2024年8月に、日本の中立金利は「1.0%~2.5%」の範囲にあるとの推計を公表しています。
中立金利とは、
- 景気を過熱させることも
- 冷やしすぎることもない
「中立的」な金利水準を意味します。
現在の政策金利0.75%は、このレンジの下限にも達していない水準です。
市場で想定されるシナリオ
市場では、今後の政策金利について以下のような見方があります。
- 慎重シナリオ:1.0%前後で一旦打ち止め
- 標準シナリオ:1.5%程度まで段階的に引き上げ
- 強気シナリオ:物価上昇が続けば2.0%超も視野
どのシナリオにおいても共通しているのは、
「今後、金利が下がる前提では考えにくい」
という点です。
住宅ローン利用者が取るべきスタンス
こうした環境下で、住宅ローンを検討する方はどのように考えるべきでしょうか。
変動金利は「上昇耐性」を必ず確認
変動金利は依然として固定金利より低水準ですが、
- 今後5年~10年で金利が上昇する可能性
を織り込んだ資金計画が不可欠です。
「今の金利でギリギリ返せる」ではなく、
金利が1~2%上昇しても家計が破綻しないか
を必ずシミュレーションしましょう。
固定金利は「安心を買うコスト」
固定金利はすでに上昇していますが、
- 返済額が確定する安心感
- 将来の金利上昇リスクを回避できる
というメリットがあります。
特に、繰り上げ返済する貯蓄がなく、収入変動リスクがある世帯には、有力な選択肢となります。
まとめ|「金利のある世界」を前提に住宅計画を
今回の政策金利0.75%への引き上げは、単なる一度の利上げではなく、
日本が「金利のある世界」に本格的に戻ったことを示す出来事です。
- 変動金利・固定金利ともに上昇圧力
- 日銀は2026年以降も利上げ路線を示唆
- 中立金利は1.0~2.5%という公式見解
これらを踏まえると、
👉 住宅ローンは「低金利前提」ではなく「上昇前提」で考える時代に入ったと言えるでしょう。
金利動向を正しく理解し、自分の家計に合ったローン選択を行うことが、これからの住宅購入では何より重要になります。
不安な場合は、早めに専門家へ相談し、複数のシナリオで資金計画を立てることをおすすめします。
