
住宅ローンを検討する際、金利や借入額に注目が集まりがちですが、団体信用生命保険(団信)の内容は、将来の家計リスクを大きく左右します。
特に近年は、がん・三大疾病・就業不能などの特約付き団信や、ペアローン向けの連生団信など選択肢が増え、「どれを選ぶべきか分からない」という声も少なくありません。
本記事では、「団信加入が難しい場合の選択肢」「補償内容の見極め方」「上乗せ金利と補償のバランス」「代表的な特約」「ペアローンの注意点」を軸に、団信選びの考え方を分かりやすく解説します。
1. 団信は原則必須。ただし加入できない場合の選択肢がある
民間金融機関の住宅ローンでは、団信加入は原則必須です。
つまり、死亡・高度障害時にローン残高を保険で完済する仕組みが、住宅ローン契約の前提になっています。
しかし、以下のようなケースでは、通常の団信に加入できないことがあります。
- 持病がある
- 過去に大きな手術や治療歴がある
- 現在も通院・服薬中である
その場合でも、住宅ローンを諦める必要はありません。主な選択肢は次の2つです。
① ワイド団信(引受基準緩和型団信)
- 健康告知の基準を緩和
- その代わり金利が上乗せ(+0.2%~0.4%程度が一般的)
② フラット35(団信加入は任意)
- 団信に加入しなくても借入可能
- 加入する場合は「新機構団信」を選択(金利上乗せ方式)
重要なのは、「団信に入らない=安心」という意味ではないことです。
加入できない場合は、生命保険などで代替策を必ず検討する必要があります。
2. 団信は「補償内容」を必ず確認する
団信を比較する際、最も重要なのは補償内容の中身です。
特に次の3点は必ず確認しましょう。
① 免責期間
- 病気やケガをしてから、どのくらい経てば補償対象になるのか
- 就業不能保障では「60日・90日・180日」など差が大きい
② 補償条件
- 「診断確定だけでOK」なのか
- 「一定期間の就業不能」「所定の状態が継続」など条件があるのか
③ 免除額
- ローン残高が全額免除されるのか一部免除(50%など)なのか
- 毎月の返済額のみ一定期間補償なのか
「三大疾病付き」と書いてあっても、内容は金融機関ごとに大きく異なります。
3. 各種特約による「上乗せ金利」はどのくらい?
基本の団信は金利上乗せなしの場合はほとんどですが、団信の特約は金利上乗せという形でコストを負担します。
代表的な目安は以下の通りです(金融機関により差あり)。
| 特約内容 | 上乗せ金利の目安 |
|---|---|
| ワイド団信 | +0.2~0.4% |
| がん団信 | +0.1~0.2% |
| 三大疾病団信 | +0.2~0.3% |
| 八大疾病・就業不能 | +0.3~0.4% |
| 夫婦連生団信 | +0.1~0.2% |
0.1%の差でも、35年ローンでは総返済額に大きな差が生じます。
4. 上乗せ金利による「返済増」と補償内容のバランス
例えば、
借入5,000万円・35年・金利1.5%の場合、
- 金利+0.2% → 総返済額は約180~200万円増
- 金利+0.3% → 約270~300万円増
この金額に見合う補償内容かどうかを冷静に考えることが重要です。
- すでに十分な生命保険・就業不能保険がある
- 貯蓄に余裕がある
こうした場合、団信を手厚くしすぎる必要はないケースも多くあります。
5. 代表的な団信特約の概要
三大疾病保障
- がん・急性心筋梗塞・脳卒中
- 条件付きでローン残高が免除されることが多い
リビングニーズ特約
- 余命6か月以内と診断された場合に保険金が支払われる
- 実質的には死亡保障の前倒し
先進医療特約
- 先進医療にかかる高額な技術料を保障
- 保障額は限定的で、医療保険と役割が重なることも
失業保障
- 会社都合退職など一定条件で返済を一時補償
- 対象条件が厳しいため内容確認が必須
自然災害保障
- 地震・水災などによる返済負担軽減
- 火災保険・地震保険との役割分担が重要
6. ペアローンと「連生団信」の考え方
ペアローンでは、夫婦それぞれが住宅ローンを組みます。
通常の団信の場合
- 片方が亡くなっても、その人のローンのみ免除
- もう一方のローンは残る
連生団信の場合
- 夫婦どちらかに万一があれば、両方のローンが免除
- 非常に強力な保障だが、金利上乗せあり
- 取り扱い金融機関が限られる
まとめ|団信は「保険」ではなく「住宅ローン設計の一部」
団信は単なるオプションではなく、住宅ローン全体のリスク管理です。
- 健康状態による選択肢
- 補償内容と免責条件
- 上乗せ金利と総返済額
- ペアローン時の保障範囲
これらを総合的に見て、自分の家計に合った団信を選ぶことが重要です。
「何となく不安だから一番手厚いもの」ではなく、
必要な保障を、必要な分だけ選ぶことが、後悔しない住宅ローンにつながります。
