【2025年版】住宅取得資金の贈与の非課税制度をわかりやすく解説

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マイホームの購入や新築を考えるとき、自己資金だけでは足りず、親や祖父母からの資金援助を受けるケースは少なくありません。

そんなときに知っておきたいのが「住宅取得資金の贈与に関する非課税制度」です。

本記事では、この制度の基本的な仕組み、非課税の限度額、対象となる住宅や契約条件、注意点までを整理し、わかりやすく解説します。


1. 住宅取得資金贈与の非課税とは?

通常、親から子へまとまった資金を贈与すると「贈与税」がかかります。

贈与税は税率が高く、例えば1,000万円をそのまま贈与すると170~230万円前後の贈与税が課されます。

しかし、一定の条件を満たしたうえで「住宅取得資金」として贈与を受ける場合、非課税で資金援助を受けられる制度が設けられています。

つまり「住宅を買うためのお金であれば、一定額までは贈与税をゼロにできる」という特例です。


2. 非課税枠はいくらまで?

非課税限度額は、購入する住宅の種類や契約時期によって変わります。

2025年現在の制度では以下のようになっています。

  • 省エネなどの基準に適合した「質の高い住宅」
    最大 1,000万円まで非課税
  • 一般的な住宅
    最大 500万円まで非課税

この非課税枠は「暦年課税の基礎控除(年間110万円)」や「相続時精算課税制度」と組み合わせて活用することも可能です。

うまく活用すれば、より多くの資金を非課税で受け取れるようになります。


3. 対象となる住宅の要件

非課税の対象になるためには「どんな住宅でもOK」というわけではありません。一定の条件を満たす必要があります。

  • 床面積が40㎡以上240㎡以下
  • 中古の場合は昭和57年1月1日以後に建築されたもの、もしくは耐震基準に適合していること(証明書が必要)

これらの条件を満たしていないと、非課税制度の適用は受けられません。


4. 贈与を受ける人の条件

贈与を受ける側にも条件があります。主な条件は以下の通りです。

  • 贈与者が父母か祖父母など(直系尊属)
  • 贈与を受けた年の1月1日時点で 18歳以上
  • 贈与を受けた年の合計所得が2,000万円以下
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住
  • 日本国内に住所があり日本国籍があること

5. 適用を受けるための手続き

非課税制度を利用するには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに確定申告が必要です。

必要な書類の例

  • 贈与税の申告書
  • 贈与契約書(資金贈与を証明するもの)
  • 住宅の登記事項証明書
  • 売買契約書や建築請負契約書の写し
  • 所得証明書 など

これらを揃えて税務署に提出することで、非課税の適用を受けられます。


6. 他の制度との併用

非課税限度額を超えた部分は、通常の贈与税が課税されます。

贈与税の計算方法には次の2つがあります。

  1. 暦年課税
    • 基礎控除110万円+累進税率(10%~55%)
  2. 相続時精算課税
    • 特別控除2,500万円+一律20%

相続時精算課税を選ぶと、その後の贈与もすべてこの方式で計算されるため、相続時にまとめて精算される仕組みです。
どちらを選ぶかは、将来の相続を見据えて検討する必要があります。


7. よくある注意点

  • マンションや建売住宅の場合:贈与を受けた翌年3月15日までに引渡しを受ける必要あり。契約だけでは不可。
  • 共有名義の場合:夫婦で共有にする場合は、それぞれに非課税限度額が適用可能。
  • 住宅ローン控除との関係:非課税贈与とローン控除を併用する際には、控除対象額が調整される場合があります。

8. まとめ:賢く活用して大きな節税効果を

住宅取得資金の贈与非課税制度は、マイホーム購入を強力にサポートしてくれる仕組みです。
特に住宅価格が高騰している現在、親や祖父母からの援助を受ける際に大いに役立ちます。

ただし、要件を満たさないと非課税が適用されないため、住宅の種類・床面積・入居期限などに注意が必要です。
また、暦年課税か相続時精算課税かの選択は、将来の相続対策にも直結する重要なポイントです。

「制度を使えば大きな節税につながるけれど、手続きを誤ると余計に税負担が増える」——これが贈与税の難しいところです。

制度を正しく理解し、安心してマイホームの夢を実現しましょう。