マイホームを購入する際、多くの方が利用するのが「住宅ローン」です。
しかし、「審査があるのは知っているけど、具体的に何をするのかよく分からない」という声をよく耳にします。
本記事では、ファイナンシャルプランナー(FP)として、住宅ローンの審査の流れを分かりやすく解説します。
1. 住宅ローンの審査は「2段階」ある
住宅ローンの審査は、大きく分けて事前審査(仮審査)と本審査の2段階です。
それぞれの目的と役割は次の通りです。
- 事前審査(仮審査)
借入希望者の返済能力や信用情報を簡易的にチェックし、「融資の可能性があるか」を判断する。
物件を決める前や、購入申込みと同時に行うことが多い。 - 本審査
物件情報や詳細な収入・勤務先・資産状況などをもとに、金融機関が最終的な融資可否を決定する。
住宅ローン契約前に必ず必要。
2. 審査の流れとスケジュール
(1)事前審査の申し込み
物件探しと並行、または購入申込みと同時に行います。
申し込み時に必要な主な書類は以下の通りです(金融機関により異なります)。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
- 健康保険証
- 源泉徴収票(直近1〜2年分)
- 勤務先情報(名刺や在籍証明)
- 借入予定額・自己資金額の申告
※自営業の方は確定申告書2~3期分が必要です。
(2)事前審査の審査内容
金融機関や保証会社が、主に次の点をチェックします。
- 年収と返済負担率(年収に対するローン返済額の割合)
- 勤務先の規模・勤続年数
- 信用情報(過去のローンやクレジットカードの返済履歴)
- 既存借入の有無
事前審査の結果は早ければ当日〜3営業日程度で出ます。
この時点で「融資可能額の目安」が分かるため、安心して物件選びを進められます。
(3)売買契約締結後、本審査申込み
希望の物件が決まり、売買契約を結んだら、本審査に進みます。
本審査では物件の担保価値も評価対象になるため、物件に関する書類が必要です。
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 物件パンフレットや図面
- 登記簿謄本(法務局で取得)
(4)本審査の審査内容
事前審査よりも詳細に確認されます。
- 収入・勤務先情報の裏付け
提出した書類の真偽確認や、在籍確認の電話など - 物件の担保評価
将来、万が一返済が滞った場合の担保価値を査定 - 健康状態の確認(団体信用生命保険の加入可否)
本審査の結果は早ければ1〜2週間程度で判明しますが、1か月以上かかる場合もあります。
3. 審査に通りやすくするためのポイント
(1)返済負担率を低く抑える
金融機関は年収に対する返済額の割合(返済負担率)を重視します。
目安は以下です。
- 年収400万円未満:25〜30%以内
- 年収400万円以上:35%以内
借入希望額を決める際は、自己資金を増やすか、返済期間を調整して無理のない範囲にしましょう。
(2)信用情報をクリーンに保つ
過去のクレジットカード延滞や携帯料金の滞納は、信用情報に記録されます。
特に、直近2年以内の遅延はマイナス評価となるため、申込み前に必ず確認し、心当たりがあれば解消しましょう。
(3)書類は正確かつ迅速に提出
記入ミスや提出遅れは、審査の遅延や印象低下につながります。
不動産会社やFPと連携して、必要書類を事前に揃えておくと安心です。
4. 審査後の流れ
本審査に通過したら、いよいよ住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)を結びます。
契約後、融資実行日(決済日)に金融機関から売主へ代金が支払われ、物件の引き渡しとなります。
5. FPからのアドバイス
住宅ローン審査は、単に「通るか通らないか」だけではなく、年収や現在の家計状況、将来のライフプランを踏まえて無理のない借入額を設定することが、長く安心して暮らすためのポイントです。
特に、子育てや教育費がかかる時期とローン返済が重なる場合、返済計画に余裕を持たせることが重要です。
FP事務所では、収支シミュレーションや繰上返済プランの提案も行っていますので、ぜひご相談ください。