
住宅購入は人生で最も大きな買い物の一つです。
「どのくらいの予算で家を探すべきか?」「住宅ローンはいくらまで借りて大丈夫?」と不安になる方も多いでしょう。
このブログでは、ファイナンシャルプランナー(FP)の視点から、失敗しないための「購入予算の妥当性」と「資金計画の立て方」について詳しく解説します。
1. 住宅購入における「購入予算」とは?
購入予算とは、無理なく購入・維持できる金額のことを指します。
「住宅ローンの審査に通ったから大丈夫」ではなく、自分たちの家計に本当に合った金額かを見極めることが大切です。
● 年収倍率の目安
物件価格 ÷ 年収 = 年収倍率
→ 一般的には 5~7倍以内が安心ラインです。
たとえば、年収600万円の方であれば、物件価格は3,000万円~4,200万円程度が目安となります。
● 毎月返済額の目安
月々の返済額は、手取り月収の25%以内が望ましいとされています。
ボーナス返済に依存する計画は避け、通常の月収で完結する返済プランが安全です。
2. 資金計画を立てるべき理由とは?
多くの方が「物件価格」ばかりに目が行きがちですが、住宅購入には物件価格以外にもさまざまな費用がかかります。
計画なく購入を進めてしまうと、後から「こんなはずじゃなかった…」と後悔することになりかねません。
将来の家計まで見据えた資金計画を立てることが、安心してマイホームを持つための第一歩です。
3. 購入に必要な費用の内訳
● 自己資金(頭金+諸費用)
- 頭金:物件価格の10~20%が一般的
- 諸費用:物件価格の6~10%(仲介手数料、登記費用、火災保険、ローン手数料など)
たとえば3,500万円の物件であれば、諸費用は200万円〜300万円ほど必要になることも。
● 住宅ローンの借入額
住宅ローンは“借りられる額”と“返せる額”は異なります。
借入額を決める際は、将来の支出も見据えた「返済可能額」を基準にしましょう。
4. 資金計画の立て方【5つのステップ】
ステップ①:ライフプランを見える化する
子どもの教育費、車の買い替え、老後資金など、これから必要になるお金を整理します。
ライフイベント表やキャッシュフロー表を作成することで、将来の支出を可視化できます。
ステップ②:月々の生活費・固定費を見直す
現状の家計を把握し、余剰資金(貯蓄可能額)+現在支払っている家賃を確認します。
住宅ローンの返済+住宅関連費(固定資産税、管理費など)がこの金額を上回らないようにすることが重要です。
ステップ③:借入可能額と返済プランを試算
住宅ローンシミュレーターを使って、返済額・総返済額・金利タイプ(固定/変動)などを比較しましょう。
「変動金利」のリスクや将来の金利上昇も想定するのがポイントです。
ステップ④:購入後の維持費を想定する
購入後は固定資産税が毎年かかります。
また、マンションであれば管理費・修繕積立金が毎月かかり、戸建てであれば大規模修繕費(10〜15年程度に一度)が継続的にかかります。
さらに、賃貸ではなかった内装設備の修繕費も発生します(エアコンや給湯器交換など)。
ステップ⑤:第三者のアドバイスを活用する
自分でも作成できますが、ファイナンシャルプランナーなどの第三者に相談することで、客観的かつ総合的な視点で資金計画が立てられます。
自分だけでは気づかないリスクや見落としも、専門家がサポートしてくれます。
5. よくある失敗例
住宅購入で多くの人が直面するのが、予算オーバーや計画不足による失敗です。
たとえば、「住宅ローンが通ったから大丈夫」と安易に限度額まで借りてしまい、毎月の返済が家計を圧迫するケース。
また、住宅展示場でグレードの高い設備やオプションを勧められ、気づいたら予算を大幅に超えていたという声も少なくありません。
さらに、購入時の費用だけでなく、将来の教育費や車の買い替え、老後の生活資金といった支出を想定していなかったために、後々資金繰りに困ることもあります。
これらの失敗は、事前にライフプランや支出を丁寧にシミュレーションしていれば避けられたものばかりです。
計画の甘さや楽観的な見通しが、長期的な家計の不安につながってしまうのです。
6. まとめ|予算と資金計画で「安心できる家選び」を
理想のマイホームを手に入れるには、立地や間取りといった物件条件だけでなく、「どれだけの予算で無理なく購入・維持できるか」を見極めることが何より大切です。
住宅ローンは「借りられる金額」ではなく「返せる金額」で考えること、そして物件価格だけでなく諸費用・維持費・将来の支出まで含めた資金計画を立てることが、安心できる家選びのカギになります。
不安な場合は、専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのも有効です。
中立な立場で家計全体を見渡しながら、あなたに最適な予算と返済プランを一緒に考えてくれます。
住宅購入は「ゴール」ではなく「スタート」です。
安心して暮らし続けられる住まいを手に入れるために、今こそ家計と向き合いましょう。